夏祭りは静かなの。太鼓と囃子と人の声とで、耳
には暑い夜がぎゅうぎゅうと詰まっている。唇の動
きが形づくる。視線だけが傷をつける。夏祭りは映
像的ね。あなたの心はどこで踊っているのかしら?
一つの認識が、水面に落とした波紋。二度目の滴
はこないが、どこか遠くの森で、鉄琴のような音を
たてて川が流れているのをわたしは聴いている。時
の波だけが彫刻しうる河岸。瞳へとたえず誘われる色彩。
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パ
ウラ・ファン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レ
メディオス・クリスピン・クリスピアノ・デ・ラ・
サンテシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ。
変貌を許されただけのイマージュ。蜘蛛は白紙の
上で釣り合っている。次の蜘蛛への過渡期。危うさ
の面こそが肌である。感じている指から遡ることで
生きなおし続けるもの。変貌を許されただけのイマージュ。