白い魚/
草野春心
白い魚を
この両目に見た
淡い午後のこと
そこらじゅうに
焼きついていたのは
光だけだった
水槽のような
街にきみは泳ぎ
おいでよと言ったんだ
ぼくには
きこえたんだ
ほんとうに
美しいものには
けしてふれてはいけない
言葉をのみこんで
ただ涙をこぼそう
愛するきみのために
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グループ"春心恋歌"
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