ベランダ/
草野春心
籠の中で眠っていた
バナナの果皮を捲ると
ぎっしりと雪がつまっていた
溶けてゆこうとするそれを
あなたは指の腹を使って
精一杯に踏み固めた
きょう、冬の陽は
滑稽なほど柔らかく
白く冷たいあなたのシーツが
ベランダでぱたぱた笑っている
そうして
すべて
穏やかな香りに包まれ
ぼくはぼくの心を
静かに見喪った
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