傘/
草野春心
ずっと雨がふっている
私たちは 灰色になって
果物のようにすわっている
かたい音をたてて郵便が届く
この場所に生活があるから
バイクがぬるい水を撥ねて
次の家へ向かっていく
時々 あなたへの慕しみが
私の胸につめたい雨をふらせる
けれども 私は傘をささず
空のひかりをみつめている
前
次
グループ"春心恋歌"
編
削
Point
(3)