恐怖/草野春心
 


  バーガー・ショップの狭いテラス
  台風のあとで椅子が倒れている
  ケチャップでよごれた君の唇
  文脈を外れた一行のごとく
  包み紙はテーブルをこぼれて落ちる
  恐怖
  振りむくとそれはそこにある
  ざわめきもせず夏の草が
  地の中の養分を吸っている



   グループ"短詩集"
   Point(5)