鉈/草野春心
 


  土管のうえに猫がととのっている
  紋白蝶はさえずりのように風にふくらんで
  もはや言葉の色はしていない



  捨て去られた、黒い缶コーヒー
  夕空に向けて屹立している
  わたしは ただ歩いているわけではなく
  鋭い鉈によって、何かから切り落とされたばかりだ




   グループ"短詩集"
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