【批評祭参加作品】空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集/石川敬大
 
になった誕生日
 産んでくれなんて 頼まなかった
 わたしが自分で
 あなたを親に選んで 生まれてきたんだよね
 おかあさん 産んでくれてありがとう
 次は『ごめんなさい』という詩です。
  ごめんなさい
 あなたを裏切って 泣かせてしまったのに
 あなたは ぼくに謝った
 アクリル板ごしに ごめんね と
 悪いのは このぼくなのに
 あの日の 泣き顔が忘れられない
 ごめんなさい かあさん
 面会の時間に、「アクリル板ごしに」話したことを思い出して書いたのでしょう。悪いことをして刑務所に入れられたのは少年なのに、母親の方が謝るのです。
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