月の嗤うさき7/……とある蛙
すら
砂嵐のような混乱
イザナギは叫ぶ
もういやだ。
もう二度と歩かない
なぜ歩かねばならないのだ。
俺はおまえに会えと言われた
だが俺はおまえを知らない
おまえは俺を知らない。
俺は猿では無い
おまえは一体何者だ
Nowhere
イザナギは虫を食わない
施しを受けたものも食わない
イザナギは獣の肉を食らう
路傍の草ももちろん食らう
イザナギは自力で掠め取る
食い物を自力で掠め取る
イザナギは人を殺す
カンに触る者はなんでも殺す
イザナギは恫喝する
自分を畏怖しない者を恫喝する
イザナギは闇夜に潜む
自分の正体がばれないよう
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