小さな好み/花形新次
小さな手のひらで
ふたつ
シワシワのウズラの卵
サワサワして
少年は今までにない
感覚を知ることになる
パパがママにしてもらってたのを
偶然見てしまってから
ついつい
自分でやってみたくなって
なんとなく
いけないこととは
知りつつも
少年はひとり
天に舞う
小さな
手のひらに
いつでも
あふれ出る
これが
大人になった証拠なんだよね
ねえパパ
坊や
ついに
気づいてしまったか
まあ
しようがないな
いずれ誰もが通る道だ
無限に広がる官能の世界は
すべてお前のものなんだよ
今夜また
二階で
ガタガタ音がすると
ウズラはささやく
パパの言葉
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