ホテルニュー上大岡/花形新次
 
都会の砂漠を疾走する
赤い快速特急を降りると
乾いた風が俺の髪を
グシャグシャにして
改札を出ると
いつものように彼女が
つまらなそうに
俯いて立っていた
視線を上げて
俺が視界に入ったとき
彼女の顔の翳りが
一瞬のうちに晴れるのを見て
俺はとても深い喜びを感じたものだ
それももう昔のこと・・・
今では少しだけ口元が上がって
笑顔らしきものをみせるだけ
俺は考える
もう何もかも終わってしまってるんじゃないか?
いや、終わらせなければならないのじゃないか?
心の中で繰り返し呟く、が
結局答えを出すでもなく
とりあえず
ややこしいことは考えないで
ホテルに
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   グループ"パロディ詩"
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