空と自由/……とある蛙
今でも夢に見る
北斜面の崖
なだらかな傾きの崖
崖の上のお屋敷の、
裏手の急斜面から
空に舞い上がる自分を
空は樹木に隠れて半分
空は現実に隠され半分
半分の空に半分の自由
空に憧れ
空を飛び回り
空から街を観て
僕は鳥ではない
小さな盗人の羽虫だ
鳥に怯え
鳥に食われることに怯え
半分の空に漂う小さな羽虫
半分自由な空は
白く澄んでいて
獰猛な鳥と軽薄な人間
蜻蛉が飛んでいる
その遙か低空
小さな羽虫の僕は
風に漂っていて
気分は空の上だが
地上から
ほんの数センチ
浮遊している
羽虫だ。
心の中だけが安心な世界で
いつもビクビクしながら
夢を見ていた羽虫
そんな夢を
今もまた見ている。
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