1K/中原 那由多
オレンジ色の明かり、ガソリンスタンド
不確かなテリトリーに取り残された
野良猫の輪郭を浮き彫りにした
初対面のエンジン音たちに
どこか癒される自分がいて
つい、声無く笑ってしまった
投与したカプセルには
当然のように中毒性があり
心地の良い電子音に依存している
秘密基地に憧れたのは十年前で
ロフトに横たわるこの時間は
まるでそれを実現したよう
どちらも現実逃避ではないけれど
空いていた穴は塞がっている
最寄り駅まで歩いた
電車には乗らないけど歩いた
絡み合った個性は破天荒で
少しだけ、そこへ染まって
すぐに抜け出して明日に期待する
ないしょ話に掛かったモザイク
興味もないからどうでもよかった
何色でもない箱を手に入れて
膨らんだ希望だけを詰め込むのは勿体無いから
カタチある夢を探そう
僕らはそれを求めて
あるいはそのものになろうとしてゆくのだ
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