秘密荘厳大学文学部/済谷川蛍
永久凍土を溶かしてくれそうな春の兆しのようだった。
裏門の階段を下りると高野山高校の女子高生たちが4人ほど座っていた。横を通り過ぎるとき彼女たちはこちらを振り向いたが私は斜め下に視線を固定していた。少し歩いて森野が言う。
「結構可愛かったですね。秋山さんは誰が好みですか?」
「見てないよ」
「硬派ですね。秋山さん、彼女いるんですか?」
「君が彼女みたいなもんだよ」
えっと彼が驚いた顔をした。私はそれを見てまた少し笑った。
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