夜中のダンスフロア/岡崎師
空では星が衣擦れの音をさせ、冴えた月は氷山の槍先をぼくらに向けた
乳白色の暗黒の雲が静かに落ちて、甘い匂いだけが空気を震わす
キレイナ雪の降り注ぐ、2文字の時間に、きみとぼくはあの扉を抜け
ダンスフロアに忍び込んだ。月の光が客として、窓辺に座っていた、
きみとぼくは朝を恐れずに、事件もそうそう起らないとおもって、
月に守られながら様々な楽器を手に取り、でたらめな音楽を演奏した
月曜日の密室。ぼくときみは何もしない。手を取り合うことも
お話ししたりすることもなく、ただ楽器を鳴らせて、朝を向けるはずだ
きみとぼくは、なんでもない。何にもなれない光の子供。薄闇の中、
浅い呼吸で確かめられることは、雪が今も降り続けている事実や
青が溶け出してきたこと、暖かな温度が忍びこんで来たことだったり
月がぼくらにお別れを言って、太陽に、衣装を変えたりすることだろう
前 次 グループ"淡い虹が架かって、雨が降る。景色は煙って、降ってゆく夕暮。"
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