【批評祭参加作品】ひろげた本のかたち(佐藤みさ子)/古月
 
性といった、パーソナリティを表わすものである。
 そして空白といえば、


 ・部屋の空白と争っている
 ・空席にくうせきさんがうずくまる
 ・からっぽをみっしり詰めた人形です
 ・新しい箱を汚していく月日
 ・ねむっているうちに空き箱できあがる


 などの句もあるが、佐藤みさ子はなぜこのように空白を描きたがるのか。
 ことによると彼女自身、自分のことを空白のような存在だと感じているのではないか。だから「部屋の空白と争」ったり、顔の無い不安にさいなまれるのではないのだろうか。ならば句中の「箱」も「人形」も「くうせきさん」も、おそらく彼女自身なのだろう。


 ・歳月
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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