【批評祭参加作品】 それは水の話ではなく/たりぽん(大理 奔)
も元は同じものなのに、同じ世界では長くは一緒にいられない。でもこの言葉たちは雪のことを語ろうとします。作者に「冷たさ」がもたらした暖かさ。そして「孤独」をもたらす暖かさ。僕たちは生きているということだけで、どんなに多くのものを失ってしまうのでしょう。
記憶の中、雪の冷たさに暖められながら永遠に失っていくこと。そんな孤独の中に閉じこもらないことを私は祈ってやみません。季節は失われません。必ず裏切ることなく巡ってくると微笑みの中で信じて欲しい。そんなかすかな希望のぬくもりが、また指先で雪をとかすのでしょう。それでも、それが生きることなのだと。
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