批評祭参加作品 ■ 詩友への手紙 〜この世を去った友へ〜 /服部 剛
いということが、まだ実感できな
かったが、今朝、バスを降りて職場へと歩きながら、僕
は顔をくしゃくしゃにして涙を流していた。
職場について、今日集まるお年寄りが飲むお茶をやか
んに入れながら、君のことを考えてふと顔を上げると、
ついさっきまで動いていた時計の秒針が止まっていた。
今日一日、何度僕は君の名を呼んだことだろう。そし
て何処かへ姿を隠したようにこの世から去ってしま
った君に、(僕は生きるよ・・・)という只一つの決意
を、今日という日の間に、何度僕は心に呟いただろう。
僕は不器用に、みすぼらしい、あるがままの姿で、こ
の地上の旅を歩いてゆく。日々
[次のページ]
前 次 グループ"第3回批評祭参加作品"
編 削 Point(1)