批評祭参加作品■気風は断絶したか?/岡部淳太郎
異和も含まれているだろうと思われる)を素直に告白しながら、その〈六〇年代詩〉の「気風」を受け継いでいくことを宣言している。一種の信仰告白のようにも見えるが、先行世代の輝きだけでなく汚れさえも受け継いでいく、その覚悟が語られているのだと思う。少なくとも現代詩が残してきた歴史の上に立ち、その先にあるひとりの書き手として誠実であろうとしているように見える。
この文章で稲川は「気風」という言葉を使っているが、それは時代ごとにそこに書かれた詩を被ってきた詩的精神のようなものだろう。稲川は堀川正美が一九六二年に書いた「感受性の階級性・その他」という文章を援用しつつ、堀川の言う「詩の気風の交代」が〈六〇年代
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