批評祭参加作品■難解さへの接近/岡部淳太郎
読者の関係が言われ、詩の現場の方でもそれなりの試みをしてきたのだから、この問題はとっくに解決していてもおかしくはないだろう。
詩とは誰のためにあるのでもない。作者のためでも読者のためでもないし、ましてや「詩壇」のためにあるのでもない。詩は詩としてそこに静かに存在するだけだ。書き手としては、とりあえず書いていき、そのいっぽうでそれぞれの人生を生きていくしかない。また、詩の外部の人々も同じように生きていくだろう。その両者が出会うことがあるとすれば幸福なことに違いないが、幸福とは目指すべきゴールではなく、ひとつの結果として恩寵のようにもたらされるべきものなのだ。
(二〇〇八年一月)
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