批評祭参加作品■余白について考える試み/岡部淳太郎
涼とした空間であり、それが空地と呼ばれうるためには、様々なビルが建っていたり、田畑などに利用されていたり、道路が通っていたり、そうした土地利用を経てなおも余る場所として出現しなければならない。それと同じことで、余白は文字として利用された部分との関係なしには語れない。だから、どうしても語りづらいものがあるのだ。かく言う私も、余白を取り上げて論じるのは初めてのことであり、それだけに見当違いなことを書いてしまいそうで不安ではあるのだが、とにかく手探りで書いてみようと思う。
先ほど余白は文字との関係なしには語れないと書いたが、試しにいま私の部屋にある書物の中から、小説と詩集と歌集をそれぞれ一冊ずつ取り
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