批評祭参加作品■〈日常〉へたどりつくための彷徨 ??坂井信夫『〈日常〉へ』について/岡部淳太郎
つ「六角橋」の出てくる詩行を、ランダムにぬき出してみた。おそらくこれはこの詩集に散りばめられたキイワードの中でももっともわかりやすいものだろう。「橋」は伝統的に此岸と彼岸を結ぶものの象徴であり、ここでもそのような役目を担わされていると見ていいと思う。だが、ただの橋ではなく「六角橋」である。その役割は微妙に違っている。「4」での「六角橋」は伝統的な此岸と彼岸を結ぶ存在となっているが、「8」ではいささか趣きが違う。ここでは「六角橋」は「迷路」となっている。おそらく「六角」にヒントがあるのだろう。正方形でもなく真円でもない六角形。その中に迷路が隠されていると想像してみるのも楽しい。「橋」はこの世とあの世
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