批評祭参加作品■走るレプタイル/石川和広
村上春樹も成功者だからちょっと嫌味かもしれないがその辺は仕方ない。あるいは詩はまたちがうかもしれないが、この「水源」にたどり着くのに途方もない時間と粘り強さが必要なのはどのような事業でも同じ。けっこう肉体的なものなのかもしれない。少なくとも村上春樹はフィジカルに「書くこと」を捉えている。
走ることはたえざる持続である。毎日あるペースでやらないと体がなまってしまう。書くこともそう。春樹さんは別に「毎日書け」と云っているわけではない。そうではなくて、書くことも毎回新しい動機があるのだから、それをいかに持ちこたえることができるのか。一般的な方法論があるわけではないので、自分なりのスタイルを作った方
[次のページ]
前 次 グループ"第3回批評祭参加作品"
編 削 Point(4)