■批評祭参加作品■日本の詩における韻律の歴史/岡部淳太郎
 
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 ここに引いた二篇は、いずれも韻を踏んだ詩の例である。那珂太郎の詩はa音の「秋」「あらし」「あしおと」の頭韻で始まり、そこから次第に音をずらしていっている。「あしおと」の後は「曲り」で同じa音ではあるが、「曲り」は「曲りくねり」で直後の「うねりめぐる」へとつながっている。「うねりめぐる」の頭のu音は「空気の蛇の」の頭のu音へとつながり、「空気の蛇の」は「きらめく肌に」のk音とh音へとつながっている。そこから先は「肌に」につながるh音(ハヒフヘホのハ行の音)の連鎖がつづいている。このようにして、この詩は韻をどんどんずらしていくような書き方がされている。
 いっぽう、岩
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   グループ"第2回批評祭参加作品"
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