■批評祭参加作品■ Vフォー・ヴェンデッタ/いとう
 

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映画の出来はよくない。完成度は低い。けれど、
これが英国のコミック原作であるということではなく、
現在の米国で作られた映画であるということに、
最も意義がある。
そして伝えられようとしているものは、深い。

何層もの構造に支えられていて、
しかも主題はその奥にあるのではなく、
じつはその構造の状態そのものにある。

単なる復讐劇でもなく、
現在の世情への問題提起でもなく、
そしてまた、
Vの行為を勧善懲悪から外れたものにすることによって生み出される混沌(カオス)を狙ったものでもない。
(たとえばイヴィーへの拉致拷問及びその後の癒しは、典型的な洗脳の手法だ)

そしておそらく、その、何物でもない状態を目指してしまったことこそが、
エンターテイメントに徹しきれなかった要因であるとも。


   グループ"第2回批評祭参加作品"
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