■批評祭参加作品■ピラミッドは三角か?/岡部淳太郎
三角に見える。しかし、上空から見れば、それは四角形に見える。ピラミッドは四角錐だから、上空からは四角形(それもほとんど正方形)に見えるのだ。このように、同じものでも視点を変えることによって違って見えてくる。ある者はピラミッドを地上から見て、この物体は三角形であると言い、ある者は上空から見て四角形だと言う。また、別のある者はピラミッドのすぐ側まで行って観察し、この物体は一見三角や四角に見えるが実は巨大な長方形の石を数多く積み重ねて造られたものであると言う。そのように、見る者が変れば見えてくる姿も変ってくる。それが視点の多様性であると同時に、対象物そのものが先験的に秘めている多様性でもあるのだ。
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