■批評祭参加作品■ 「父さん」櫻井雄一/たりぽん(大理 奔)
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長崎空港は大村湾に浮かぶ世界初の海上空港だ。埋め立てられた箕島はその原型をとどめてはいない。空港へは連絡船もしくは箕島大橋をわたるバス・タクシーを利用するが、私のお薦めは渋滞の無い連絡船。最速の旅の前に船に揺られるのもおつなものだ(といっても、船は高速艇だが) 「父さん」という櫻井雄一の詩は、その長崎空港が舞台である。おそらく「グッバイコーナー」と名付けられた場所。搭乗待合室と送迎スペースを区切るガラスの前。さらに搭乗待合室の窓の外には離陸前のジェットがよく見える。そんな場所だ。この詩では飛行機は主人公が利用する交通機関の一つとして採用されているにすぎない。
詩、もしく
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