剥製になった君へ/漣 風華
 
ゆっくり
 ゆっくりと君に針を刺しました
その穴から私の偏愛を注ぎ込みたくて

剥製になった君へ
慟哭と共に御手紙を書きました

決して振り向く事のなかった二人
それを真実と信じて疑わなかった

君の名前も
君の顔も 声すらも
知らなかったのに

愛しくて
愛おしくて
貴女の寵愛を待っておりました

貴女に刺した針はいつしか
巡り巡りて私を刺した

自らの偏愛に侵されて
貴女の事すら分からなくなりました

貴女の事ばかりしたためていた
決して読まれる事の無くなった
最期の御手紙
   グループ"夜明け前の鬱屈"
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