翼(「バード連作集3」)/光冨郁也
 
色の翼を羽ばたかせている。

 もう少しで、岬に立てる。
(この先に何があるのか)
 浜辺を歩いた。風が吹く。わたしの背後から、ハーピーたちが群がり追い越していく。羽ばたく音を聞きながら、わたしはいつまでも曇った空を見上げている。女の顔が浮かぶ。
 岬に立った。その水平線の彼方は、微かでわたしにはまだよく見えない。わたしは片手を上げて、雲を消し去る風の精を呼ぶ。来てくれるのか、青の中に戻されるのか、わたしにはわからないけれど。


   グループ"散文詩「バード連作集1・2・3」"
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