遺書(1)/虹村 凌
 
平日である。そして、朝である。何故なら、それぞれの顔が、色々な期待や欲望に溢れているからだ。夕方であれば、それらの顔に浮かぶ欲望や期待と言うのは、食欲と睡眠欲に限られてくる。少なくとも、俺はそう思っている。ところが、朝の顔と言うのは面白い。色々な事を考えているであろうその顔は、実に私の想像力をくすぐる。
 何かよからぬ事を考えている者、本日の予定に絶望しながらも打開策を練っている者、素晴らしい一日になる事を信じている顔。そのそれぞれが、何らかの理由によって支えられているのだろう。テレビや雑誌の占い、前日の行動や言動、それも他人の行動や言動まで含めれば、色々な事が考えられる。
 一番面白いの
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