遺書(3)/虹村 凌
 
、誰とも口を利かない日は年中ある。別に友達がいない訳じゃない。友達がいなけりゃ、遺書も書こうとも思わなかっただろう。別段、普段言えない感謝の気持ち、みたいなふざけた気持ちを書き記すつもりは無い。ただ、何時死んでも良い様に準備している、と俺は思っている。
 眠たくなる俺の意識とは裏腹に、窓の外の喧騒は活発になっていく。俺は空調のリモコンに手を伸ばし、スイッチを入れる。カビ臭い匂いを吐き出しながら、冷たい空気が流れ出してくる。
  グループ"遺書"
   Point(0)