「名」馬列伝(3) オースミダイナー/角田寿星
父は大柄な馬だった。引退レースの有馬記念で、あっと驚く大穴を開けた時、530kgもあった。そしてその仔達も大柄な馬が多く、余計なことに、よく穴を開けるとこまで似ていた。
「血のロマン」てやつを信じていた頃があった。親子三代天皇賞勝利、ダービー馬はダービー馬から。
現実はきびしい。かつて隆盛を誇ったチャイナロック、ヒンドスタンのサイアーラインは絶えてしまい、世界的に貴重なバイアリータークの父系血脈もまた、消滅の危機に晒されている。
彼にもまた、夢を託していた時期があった。持ち前の成長力でいつか、舞台は府中の2000m、秋の盾、相手は同い年の二冠馬、稀代のアイドルホースをゴール前の強襲
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