「名」馬列伝(6) メジロモンスニー/角田寿星
 
世になり、清水騎手もまた、かつての輝きは失われていたが、「脚決め」の技術は健在であった。
ラジオたんぱ杯3歳S(当時)、ナリタタイシン。2走前より乗り替わっていた清水は、先行で末脚を失っていたその馬を、まずは中段からの競馬を教え込み、そしてこのレースでは、最後方からのまくりと追い込みで、見事に低評価を覆した。
ナリタタイシンにとっては初重賞勝ち、清水にとっても久々の重賞勝ちであったが、これは何よりも、その馬の後方一気の「脚決め」が完成した瞬間であった。

ナリタタイシンは翌年、武豊に乗り替わり、後方一気の追い込みで皐月賞を勝つ。
実況アナは「武マジック!」と叫んだが、それは誤りであり、騎
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