「名」馬列伝(6) メジロモンスニー/角田寿星
 
第一歩だった。

脚決め。聞きなれない言葉だが、これは実戦で競馬をしながら、その馬に合った脚質、戦法を教え込んでいく、ジョッキーにしかできない一種の調教である。
清水英次騎手は、その道の名手で、関係者からの評価も高かった。厩務員から「英次さんが辛抱強く乗ってくれたので差しのスタイルが身についてきた」というコメントが紙面に載ったこともある。
きさらぎ賞、スプリングSと、後方一気の追い込みを叩き込まれ、彼の「脚決め」はクラシック本番直前に完成した。
そしてその末脚が、クラシックで炸裂する。

皐月賞。どろどろの不良馬場、直線で追い抜かれたミスターシービーを必死に追いかけた。
栗毛と黒鹿
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