書かれた-母/非在の虹
 
いった。
ある日無数の白い鳥がそこから飛び立った。
その日から二人で高い草の中へ入ることはなかった。

ベッドに母の生理用品が散らばり
その中に母は座っていた。
子どもは何が起こったのかわからない。
でも何かが起こったことはわかる。
ベッドから流れるおびただしい血が川となる
しかし子どもの遊び場にはならない。

やがて子どもが眠り
母は戸口に立っていた。
その扉の向こうは湿地帯だ。

  *

母は捨てる
母は詩集を捨てて走る
母は生理用品を捨てて湿地帯を走る
母の手に子どもはいない
   グループ"家族譜"
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