面接(11)/虹村 凌
らないか?」
「いや…いい…」
「お前の悪い癖だ。わかっているのに、そうやって確認しようとする」
「…」
「まぁいい。俺はずっと見てるぜ、今後どうなるのかってな」
「帰るのか?」
「バ〜カ。帰るって何処に?俺はお前の中に戻るだけだ」
「…」
「やけに淋しそうな顔するじゃねぇか。何なら、もう少し付き合うが?」
「いらねぇよ。とっとと消えちまえ」
「ヘッ。相変わらずだな。じゃ、あばよっ」
そういうと、俺を名乗る俺はすっと消えていなくなり、俺は一人、暗い部屋の中でたたずんでいた。電気のついていないこの部屋は、相変わらず通り過ぎる電車の窓の明かりと、街灯、それ
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