面接(13)/虹村 凌
 

「うん、彼女と住んでる」
「へぇ…いいの?私がここにいて」
「さっき、実家に帰った。そうじゃなきゃ、家に入れねぇよ」
「ふーん。あ、煙草吸っていい?」
「かまわんよ」
 女は、鞄の中から金色のマルボロを取り出すと、100円ライターで火をつけた。
「彼女、ピース吸うんだ」
「あぁ」
「私もね、高校生の頃はピース吸ってたんだー」
「知ってるよ。何回も聞いた」
「あ、そ」
「…」
 マルボロの、独特の香りが部屋の中に広がる。
「今、なにしてんの?」
「俺?就職して働いてる」
「就職したの?!どこ?!」
「百貨店」
「どこの?今度買い
[次のページ]
   グループ"面接"
   Point(1)