面接(14)/虹村 凌
 
だ布団の中は、この世で一番平和で幸せな世界だと、そうやって眠る二人なら誰もが思うように、俺も、感じた。もうどうなっても構わない。この女だって、もうわかっているだろう。生活も、何もかもがどうでも良くて、真っ暗な穴の中に落ちていく、その冷たい感覚すらが、この「世界」のスパイスみたいに感じられた。
「起きてるか?」
「…ん?」
「笑うなよ…?」
「…笑ってないよ」
「本当は、今でも」
「今でも?」
「…なんでもない。おやすみ」
「…おやすみ」
 俺は、女を抱きしめて、眠った。
 夜の次に朝が来る保障なんてどこにも無いのなら、俺は間違っていない。夜の次には朝が来ると信じている奴等が、俺に後ろ指を、むける。狂った朝が訪れるかも知れないのに、朝は来ないかも知れないのに。
   グループ"面接"
   Point(1)