面接(2)/虹村 凌
「前に、休憩室で吸ってるの、見た事あるんです」
言った後に、少しばかり後悔した。いつも見ていると思われたか?
「そうですか…休憩室では一回くらいしか吸って無いのにな…」
小さな、でもよく通る声で呟いた彼女は、鞄の中から、ピースを取り出すとジャケットの上着からジッポを取り出して火をつけた。
何だ、持ってたんじゃないか、と言おうとしてやめた。彼女の真っ白な指が、黄色いソフトパッケージのピースを叩き、真っ白いピース一本を、取り出す動作を眺めていたからだ。別段、美しい訳ではなかった。取り立てて、不器用な動作でもなかった。ただ、何か、ひっかかる動作だった。誰かの動きに似ているのだろう
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