(無題)/
キキ
やってくる獣の影を知らせる
地面に両膝をつき
つめたさをがまんしながら見上げる空の青さに
前髪を揺らしていく風はあたたかく
あれは、と
いろいろのものが横切っていく
わたしを置いていく
いろいろの、
わたしはこの、
スニーカーを脱いだとしても
スニーカーではないものを
置いていく術を手に入れたくて
氷が溶けたあとの地面に両腕をうめるのに
忙しいので
わたしに代わって
なんどでもひもを結びなおしてくれるひとを
待っている
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