ブラジルサントスの珈琲は/佐々宝砂
 
0個箱を運ぶとか
きついったってその程度のきつさだけれど
なるべくきつい仕事がしたい
額に汗して何も考えないでハイテンションで鼻歌でも歌って
鼻歌歌ったからって怒られて
それでもみごと仕事はこなしたぜと口答えしたい

夜のバスに揺られて
暗い窓に映る間抜けた口元を見ながら
今夜の仕事はなんだろうと考えている
眠眠打破でもブラジルサントスでもなく
ほのあまいジャスミンティーの香りをふと懐かしみ
間抜けた口元をさらに間抜けにゆがめてみる

明日は夜勤がないけれど
私はきっと眠らないのだろう
   グループ"労働歌(ルクセンブルクの薔薇詩編)"
   Point(4)