ブラジルサントスの珈琲は/佐々宝砂
0個箱を運ぶとか
きついったってその程度のきつさだけれど
なるべくきつい仕事がしたい
額に汗して何も考えないでハイテンションで鼻歌でも歌って
鼻歌歌ったからって怒られて
それでもみごと仕事はこなしたぜと口答えしたい
夜のバスに揺られて
暗い窓に映る間抜けた口元を見ながら
今夜の仕事はなんだろうと考えている
眠眠打破でもブラジルサントスでもなく
ほのあまいジャスミンティーの香りをふと懐かしみ
間抜けた口元をさらに間抜けにゆがめてみる
明日は夜勤がないけれど
私はきっと眠らないのだろう
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