When I was young/佐々宝砂
 
働くぼくらはお揃いの工人服に工人帽で、
高い窓から覗く四角い青空をみあげた。

仕事はリズミカルに進んだ、

しん、とした倉庫はひんやりして、
フォークリフトだけがぬくもりを持っていた、
ぼくはハンドリフトをぎこぎこ動かして、
四角い箱を四角いパレットに積み上げた。

仕事はまるで終わらないみたいだった、

工人帽をはみ出した髪の毛から、
ちょっとだけ汗がしたたったりした、
写真付きの名札の裏側には、
食券と誰かの写真がはさんであったりした。

三交代勤務はいつまでも続くようだった、

休憩室の灰皿いっぱいの煙草、
開いたままのパチスロ雑誌、
薄暗い廊下に放置されたコンテナ、
人が住み人が働き人が作り上げた工場というもの、

目を開けば、
停まったままのラインに埃が積もる。
  グループ"労働歌(ルクセンブルクの薔薇詩編)"
   Point(2)