海色のミュール/佐野権太
 






窓辺に乾かした
夏のかけら
滑らかな白の巻貝は
下半分にエナメルを塗ろう
おまえが民宿で
爪先に塗ってもらった
あのライムグリーンの

まるで海だ

(なぁ、聞いてんのか
(さっきから何を描いてるんだ
(スイカように笑ってる
(その横の泥棒みたいなのが
(まさか、お父さんってわけじゃないだろう

いつか
つまずいたとき
思い出してくれたらいい
あの
小さな蟹の速さとか
かき氷の高さとか

曲がりくねった海岸道路から見えた
途切れとぎれの海に
何度も残した
さよならだとか






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