はだかんぼう/佐野権太
たん
軽やかな風をつむぐ君は
爪先を確かめる
頬にこぼれる髪
すくって
残念ながら
お腹がいっぱいになるほどの
木の実はないのだ
たねをまけばいいんじゃない?
たん、た、たん
回り込んだつもりが
いつの間にか背後に、いる
焦燥
服はどうするのだ
葉っぱの服になっても
いいというのか
はだかんぼうで
いいんじゃない?
はだかんぼう
はだかんぼう
みーんな、みーんな
はだかんぼう
たん、た、たん
たん、た、たん
君は
柔らかい羽根を広げて
さえずりながら
行ってしまった
置き去りの僕は
また
洗濯ものを
たたみはじめる
君のリズムで
たん、た、たん
たん、た、たん
そうだね
幸せのかたちは
ひとつじゃない
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