「モノポライズ」/長谷川智子
見るからにやわらかく華奢で繊細な色合いは好もしく映った
食べちゃいたくなるくらいなんとやら
声色も甘やかだったらしい
嫌い
好き
こんな目方で測れない
測ることもままならない
激しさと燻ぶる熱に冒される
会うたび触れるたび私の深いところに眠っていた何かが疼いて
掴んだ手も抱き寄せた体も
何が何でも離したくなくなっていた
ともすれば
あのひとから奪ってしまえるかもしれない
心の底から根こそぎ
勝ち誇るような薄ら笑い
ほんとうは
そんなことできやしないのにね
時間的にも
空間的にも
こんなとき世界一醜い自我をふりかざしてみる
情けない自らを嘲る
眼に留
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