トレンディドラマ/モリマサ公
 
それを何人かがおさえこんでいるよくある風景
駅ビルの本屋で村上春樹の最新刊を完読して帰宅すると
リビングで父が煙草を吸いながら「こっちみんじゃねえよ」と母にどなっている
床には母の髪の毛が散らばっていて母は髪の毛をはさみで切っているところだった
「ただいま」
家族という装置のもっとも残酷な部分は
そこが芥子の実ほどの愛のかけらもないがらんどうだったとしても
そのままの状態で時間の上を空間としてすべっていくことが可能だということだ
「おかえり」








   グループ"日曜は父親と遊園地に行こう"
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