ライオンさん(愛・雨・絵・王)/木屋 亞万
ライオンさんは新月の一際暗い夜
静かに形而上学的な存在へと変わった
ライオンさんは愛そのものになった
ライオンさん!
こっちは愛が降ったよ
そっちはどうだい
身近にあなたを感じるようで
すごく遠くにいる気もするんだ
ライオンさん!
やはりあなたが王様だ
月にあなたが描かれてるんだもの
タテガミが月の風に揺れるのが
僕には想像できる気がするよ
僕はドラミングしながら
雲の向こう、月に吠えた
ライオンさん!
この星には愛と水を持ったライオンはもういないんだ
雨を避けるようになった霊長どもは
愛に飢えて
愛に飢えた痩せた心で
絶滅すればいいんだ
ライオンさん!
僕はあなただけは
ライオンでいて欲しかった
他の誰が愛と水になって
大地に帰ったとしても
あなたにだけは
ライオンさん!
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