小さな蟻が地球を回す/beebee
ほら肩に蟻がいる
友達の言葉に慌てて払った。
秋の陽射しの中、
落ち葉と一緒に落ちて来たのか、
払われた蟻は水溜まりに落ちてもがいていた。
ああ可哀想と誰かが言う。
すると君は水から拾い上げて転がっていたボールの上に乗せた。
もっと可哀想だろ
ぼくは爪先でボールを蹴った。
ボールは蟻を軸にするようにくるくるまわりながら転がって行く。
その時ぼくは一つの定理を悟る。
《地球はぼくたちの足で回っている林檎なんだ》と
蟻がボールを回しているように。
玉乗りさせてどうするのよ
君が笑ってお終い。
前 次 グループ"君に伝えたいこと"
編 削 Point(3)