ラッコパーティー/1486 106
合宿所の小さな食堂
人と話すのが苦手な僕は
ひっそりと息を潜めながら
周りの会話に耳を傾ける
スプーンを洗いに席を立つ
「その唐揚げ美味しそうだね」
その言葉に振り向いてみたけれど
話し掛けられたのは僕じゃなかった
流しでスプーンを洗っていると
見覚えのある顔とすれ違った
中学の頃の同級生だった
「せっかく久しぶりに会ったのに○$◇¶▽#」
「噛んだね」
そう言い返した時にはもう
彼は自分の部屋に入ってしまっていた
食堂に戻ると大きな笑いが沸き起こっていた
「今のはただの言い間違いだから
ヤベェ、マジ恥ずかしい
本当さっき言ったことは忘れてよ
マジ人生の中で一番の失態だわ」
さっきまで僕が座っていた場所だった
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