「おやすみなさい」の森/未有花
 
本で読んだ
お菓子の家かもしれない
僕の足はだんだん速くなる

近づいて見ると
お菓子の家でも何でもなくて
ただの僕の家だった
何だあもう帰って来ちゃったのかな
煌々と明かりのつく玄関を抜けて
階段を上ると
暗く長い廊下がどこまでも続いていた

あれれ 僕の部屋はどこだっけ?
ドアの隙間から
明かりが漏れる部屋がそうかな
ふああ 眠くもないのにあくびが出た
早く行ってベッドで寝なくちゃ
僕は安心毛布を引きずって
急いで僕の部屋へ歩いて行った

だけど確かに明かりが見えるのに
なかなかたどりつかないんだ
どうしてだろう
僕が早く寝なかった罰かも
部屋についたらすぐにベッドに入って
ママにおやすみなさいって言わなくちゃ
   グループ"夜の童話"
   Point(16)