ぬいぐるみと積み木と太鼓/よしおかさくら
ぼくたちはいつだって三人でいた
キミがみつばちを捕まえてほしいと
目の動きだけで云った時も
そうするしかなかった
キミはあいつのもので
ボクははちに刺されることでしか
キミに見つめられない
キミは特別な女の子で
彼氏のあいつと
茶化し役のボクしかいないなんておかしい
でもボクたち以外に見向きもしなかったんだよ、キミは
それを知ってるから
片足だけスキーを履いたシュプールを見せたり
崖っぷちのスミレを取って来たり
とびっきりうまい、
たった一杯のコーヒーを淹れられるようになったりね
キミの笑顔が見たくて
なんて云わない
とにかくキミに夢中だった
どうでもいいことしか頼まれないのは
それはそれで救いだった
あいつには実用的なことしか
人間でいた頃にはわからなかったんだ
ぬいぐるみと積み木と太鼓
ボクは愉快な太鼓で
なぜかいまもいっしょ
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